伝説の相場師「本間宗久」の格言集


江戸商人
「伝説の相場師」と言えば、思い当たるのはジョージ・ソロス、ジム・ロジャーズ、ジェシー・リバモア、などなど。しかし、日本にも相場の神様と言えるような伝説の相場師がいたことを知っていましたか?本間宗久は、ローソク足の並びを基本とした法則である「酒田五法」を考案したテクニカル分析の先駆者であり、大阪の相場師、牛田権三郎と並び称されています。今回は、「出羽の天狗」と呼ばれた宗久の格言をご紹介します。

宗久の格言

格言1

焦るな、怒るな、油断するな

『米商いは踏み出し大切なり。踏み出し悪しき時は決して手違いになるなり。又商い進み急ぐべからず、急ぐ時は踏み出し悪しきと同じ。売買共、今日より外、商い場なしと進み立ち候時、三日待つべし。是伝なり。』
「踏み出し」とは、売買を仕掛けるタイミングのことを指します。最初の一手が大変重要で、これを間違えば失敗につながり、あとから修正していくのは困難です。また、「今を逃せない」と気が焦っているときほど、3日の猶予を持つくらいの冷静さが必要であると言います。
『腹立ち売り、腹立ち買い、決してすべからず、大いに慎むべし。』
取引の場においては、感情が邪魔になることもあります。頭に血が上っているときは売買に走らず、まずは落ち着いて冷静さを取り戻しましょう。
『足らぬものは余る、余るものは足らぬと申すことあり。但し、多きものは諸人沢山と心得、油断して覚悟せず、それゆえ極意不足するなり。不足なる物は人々、油断無く、覚悟してととのへ置く故、極意は余るなり。』
投資資金は多いほうが良いわけではありません。大金を持っているとどうしても気持ちに余裕が生まれてしまい、熟考しないまま取引に走ってしまいがちです。

格言2

大きな利を得たときほど休め

『商い利運仕当たる時、先ず大概に致し、留むるものなり。その節一両日休むべし。この休むことを忘るる時は、何程利運に向きても、商い仕舞いの節は決して損出べし。勝ちに誇り、百両の利は二百両取る気になり、千両二千両の気移り、欲に迷うて見切りかね、損出るなり。これ欲より出で迷うなり。不利運の時はなおもっての事なり。その時の見切り大切のことなり。慎み心得べし。』
利益が出たときほど、この好機を逃す手はないと、さらなる利益を求めて取引に走りがちです。しかし、それは欲以外のなにものでもありません。勝ちに驕り欲を出しては、いずれ失敗につながります。勝ったときほど慎みましょう。また、投資の結果が思わしくないときも、なおのこと休息が必要です。

格言3

好機がくるまでひたすら待て

『商い進み急ぐべからず。売り買いともに思い入れ進み候時は、今日よりほか、商い場なき様に思うものなれども、是は功者なき故なり。幾月も見合わせ、通いを考え、たしかなる処にて仕掛くべきなり。無理に天井値段、底値段の考えなく仕掛くる故、手違いになるなり。是、急ぐ故なり。』
宗久は、「今が売り時・買い時だ」と投資を急ぐのは、その人が相場に手慣れた人でないためだと言います。今この時しかないと思えるときこそよく考え、本当の好機と言えるタイミングでないならばその時がくるまで何か月でも待ち、確信を持てるところで仕掛けることが、失敗しない秘訣です。
『米買うべしと見込み候時、二俵方も引き上がる時は、買いおくれじと心得、かえって売り方になることあり。はなはだ誤りなり。買いおくるる時は唯買い場を待つべし。』
「ああ、今が買い時だった…」とあとからタイミングを逃したことに気づく瞬間があると思います。そのようなときはどうしても未練が残りますが、タイミングが遅れたことを分かっていながら手を出してしまうのは失敗の元です。買い時だと思ったならば、買い場を待ちましょう。

格言4

人と逆のトレードをしろ

『十人が十人片寄る時は決してその 裏来るものなり。考えの通りに来るものなれば心易きものなれども、右様には来たらず、考えに及ばざるなり。陰陽自然の道理なり。』
多くの人の考えが一方にかたよるときは、得てしてその反対の方向に物事が動きます。宗久は、考え通りになるのであれば簡単だがそう上手くはいかないのが世の道理であると言います。多くの投資家が同じ動きをしているときは、それと反対の動きが正しい場合があることを頭に入れておきましょう。
『米、段々上がるとき、諸国不時申し出し、大阪相場も加え、跡も引き上げ候沙汰、御蔵米など申し立て、なおなお上げ、人気も強く、我も買い気に付き候節、心を転じ売り方に付候事肝要なり。是すなわち、火中へ飛び込む思い切り、一統騒ぎ立つ節は、人々西に走らば、我は東に向かう時は極めて利運なり。』
人気があって大勢の人が買っており、自分も買いたいと思った時ときこそ、売りに回れと宗久は言います。非常に勇気がいる決断ですが、熱狂相場の中にあるときは、人と同じ動きをすれば儲かるような気持ちになり、自分の行動を冷静に見られていないことがあります。本当に売り・買いが正しいのか、周りに振り回されず自分の目で判断することが大切です。

おわりに

いかがでしたでしょうか。あまり馴染みがない人かもしれませんが、彼が残した言葉には、投資家として学ぶものが多くあります。ぜひ心に留めておいてください。